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認知症対応にお悩みの方必見!認知症に効く声掛け【中級編】

介護に使えるコミュニケーション術

介護職の方やご家族に認知症の方がいる方は日々対応に苦慮されているのではないでしょうか?

繰り返し同じ話をする…
帰りたがる、どこかに行きたがる…
してほしくないことを何度もしようとする…

心配だからこそ伝えているはずなのにうまく伝わらない、”ちょっと待ってて”ができない、延々と同じ話をされてうんざりする。こんなお悩みは認知症介護に携わる方なら誰しも一度は経験があるはず。

そんなお悩みを抱える同志の皆様に、経験上本当に役に立った認知症の方へのアプローチをまとめてみました。

今回は、中級編として認知症の人が怒ってしまう心理と話題を切り替えるアプローチをご紹介します。

\初級編をまだ読んでない方はこちらから/

なぜ怒りだしてしまうのか

さて、みなさんご存じの通り認知症の人とのコミュニケーションにおいて「繰り返しトーク」になってしまうことがよくあります。一回二回ならまだしもずーっと同じ質問を繰り返されるのは結構なストレスですよね。

おじいちゃん「ごはんまだ?」
あなた『さっき食べたでしょ』
おじいちゃん「そうか」
…五分後…
おじいちゃん「ごはんまだ?」
あなた『だからさっき食べたじゃない』
おじいちゃん「そうだっけ」
…さらに五分後…
おじいちゃん「ごはんまだ?」
あなた『…(イライラ)』
おじいちゃん「なあ、聞いてるのか?」
…以降エンドレス…

よくドラマや映画などでいわゆる”ぼけ老人”を描写するときに出てくるこんなシーン、笑いごとでも比喩でもなく本当にありますよね。このように穏やか~に「そうだっけ?」と返してくれる人ならまだマシで、人によっては怒りだしてしまうことが往々にしてあります。

なぜ怒りだしてしまうのか原因を挙げていくと、

・やりとりを覚えていなくとも感じる違和感とそれに起因する焦燥感
・自分の願望が通らないことによる不満
・介助する側が不機嫌になることによる感情の巻き込まれ
・記憶の保持ができなくなっていることによる漠然とした不安感
・介助する側が無関心、無視することによる寂しさ

これらの原因、心理的要因が考えられます。さらに、そもそも認知症の周辺症状(BPSD)の中で「怒りっぽい」というのは代表的な症状として挙げられています。

BPSDってなあに?

認知症患者に頻繁にみられる行動や心理状態などの総称をBPSDと呼びます。記憶力や判断力の低下など「中核症状」と呼ばれるものとは異なり、BPSDは周辺症状として主に精神状態に関わるもので二次的に(認知症に起因して)発症するものです。

具体的には妄想、幻覚、抑うつ、不安といった心理的な症状と、徘徊、攻撃的な行動、不穏、焦燥といった行動に関わる症状が代表的です。

認知症の研究が進む以前の、まだ”痴呆”と呼ばれていたような時代にはこれらの症状は「問題行動」と呼ばれ、近年までもしばしばそう定義づけてしまう人もいました。しかし、現代においてこれらの症状や行動を問題行動と呼ぶことは介護職であればしません。

ま、実際のところは大体全部ひっくるめて「不穏」とまとめてしまうことが多いかもしれません。

初期消火が超重要

このあとアプローチのお話に入っていくわけですが、そもそも「怒らせない」ことが一番重要です。一度火がついてしまったら、燃えれば燃えるほど消火作業が難しくなっていきます。怒り狂っている人を宥めるのって認知症関係なく大変ですよね。

初級編でもご紹介しましたが、まずは傾聴!これが基本です。いよいよ怒ってしまう前に「どしたん?話きこか?」が超重要です。↓初級編の傾聴についてはこちら↓

特に不安から怒りの感情に発展することはよくあるため、怒りに発展する前に不安を解消していくことがとても大事です。

指示はNGでも?

ここまで読んでいただいた方、現に介護職をやられている方にとっては基本の傾聴はもうマスターされていることでしょう。

傾聴に徹し、出来る限り寄り添って認知症の人の話を聞いたけどそれでもやっぱりなかなか落ち着いてくれない、ヒートアップしてしまっているとき、その他にも手が離せずそろそろ話を切り上げたい…なんてこともあるでしょう。流れを損なわないように話題の切り替えを行うテクニックとして私も多用しています。

そんな切り替えテクニックとしてぜひ活用してほしいのが、

お願いです。

例えば、

「ご飯を早く食べてください」と言うのと、

「頑張って作ったのでよかったら食べてくれませんか?」と言う違い。

意味はどちらも”飯を食え”なのですが、前者はちょっと冷たい感じがしますよね。仮にまだお腹がすいていないなと思う人に向かってこういう言い方をすると命令のように思われる可能性があります。逆に後者は相手を上げて提案をするかたちになっており、この言い方をされて嫌な気分になる人は少ないでしょう。

このように、意味としてはこちらの意見を通す形にはなりますが、あくまで提案、お願い、というかたちを取ることで命令や押しつけのように思われることなく穏やかなコミュニケーションを取ることが可能になります。

”お願い”も効かない。そんなときは?

お願いはかなり使えるテクニックなのですが、それでも「なんであんたの頼みなんて聞かなきゃなんないのよ」とツーンとされてしまうことも時々あります。

そんなとき、次に試していただきたいテクニックは

話題のズラし・すり替え」です。

これは傾聴や会話の中から関心を引けるキーワードを見つけ、そのキーワードから紐づく別の話題にどんどんすり替えて最終的には認知症の人が楽しくなる話題に方向を修正することです。

臨機応変に聞き方や話題を膨らませるため、これはひたすら実践あるのみです。慣れているお相手ならば関心のある話題をすでにご存じでしょうから比較的簡単なテクニックです。介護職の方でまだ慣れていない新規の利用者さんをお相手にするの場合はまず介助に入る前に家族構成や生活歴、NGワードやキーパーソンとの関係性を理解しておくことが成功への近道です。

実践例

対象者:Dさん(男性85歳)、軽度の認知症、老人ホームに入居中

前半の灰色色付きの会話は共通で傾聴~お願いがベースです。帰宅願望がありやや不安定になっているシーンを想定します。

”お願い”で落ち着くケース

Dさん「なんで俺はこんなところにいるんだ。なんで家に帰れないんだ。」
E職員「ご家族がDさんお一人で過ごすのを心配されたからこちらに来ていただいているんですよ。でもDさんはご自宅に帰りたいんですね。」
Dさん「そうだ。俺は一人で暮らせるのに大きなおせっかいだ。」
E職員「そうですよね。Dさんはずっとお一人で暮らしていたんですもんね。」
Dさん「そうだよ。誰にも気兼ねせずにずっとやって来たんだ。」
E職員「誰でもお家が一番ですもんね。でもできたら、ここで私と一緒に過ごしてもらえませんか?」(お願い
Dさん「なんであんたといなきゃいけないんだ」
E職員「だってDさんのお話聞くの楽しいし、私がDさんと一緒にいたいんですもん。だからお願いします。」(お願い

(お願い成功パターン)
Dさん「そこまで言われて悪い気はしないけどよ。何の話がそんなに面白かったんだい」…

ここまであっさり決まることも珍しいですが、特にこのパターンはDさんにとっていい感じにお願いが刺さった例です。これは食事やレクなど特に何か起きる予定のない時間帯で起きた会話の例なので、食事の時間などわかりやすい予定の時間が近いときは「Dさんと一緒に〇〇したいんです。お願いします。」とした方が実際に使いやすいパターンになります。

”お願い”から話題のすり替えに持っていくケース

Dさん「なんで俺はこんなところにいるんだ。なんで家に帰れないんだ。」
E職員「ご家族がDさんお一人で過ごすのを心配されたからこちらに来ていただいているんですよ。でもDさんはご自宅に帰りたいんですね。」
Dさん「そうだ。俺は一人で暮らせるのに大きなおせっかいだ。」
E職員「そうですよね。Dさんはずっとお一人で暮らしていたんですもんね。」
Dさん「そうだよ。誰にも気兼ねせずにずっとやって来たんだ。」
E職員「誰でもお家が一番ですもんね。でもできたら、ここで私と一緒に過ごしてもらえませんか?」(お願い
Dさん「なんであんたといなきゃいけないんだ」
E職員「だってDさんのお話聞くの楽しいし、私がDさんと一緒にいたいんですもん。だからお願いします。」(お願い

(お願い失敗~すり替えパターン)
Dさん「あんたの気持ちは関係ないだろう。俺は俺の家に帰りたいんだ。」(失敗
E職員「そうですよね。Dさんの気持ちが一番大事ですよね。Dさんのお宅はどちらでしたっけ?」(ここから話題すり替え
Dさん「〇〇町の公園の近くだよ。あんた知ってるかい。」
E職員「ああわかります。若い頃からずっとそこに住まわれているんですか?」
Dさん「そうだよ。バアさんと結婚して、娘が生まれた頃に買ってずっとそこに住んでたんだ。」
E職員「そっか、〇〇町の公園の近くからだと駅まで近いからお仕事行くにも歩いて行けていいですね。」
Dさん「そうだな。定年まで毎日毎日駅まで歩いてったもんだよ。」
E職員「お仕事は何をされてたんでしたっけ?」…

これはお願いが失敗したパターンです。どんなテクニックにせよ、効かないと思ったらしつこくしてはいけません。押してダメなら引いてみる、何事もやりすぎはよくありませんからね。

この場合は早々に話題を切り替える方向に方針転換し、いったん「家に帰りたい」を受け止めた上で「家」をキーワードに会話の目的をDさんが気持ちよく話をできる会社員時代の話に持っていこうとした例です。途中ご家族の話が出ていますが、ここを掘り下げてしまうとまた気持ちが「家」に戻ってしまい「帰りたい」になってしまうため注意が必要です。避けるポイントをしっかりと踏まえて目的の話までズラしていきましょう。

特にDさんを含め男性はお仕事の話は気分よくお話してくれることが多い話題なので話を切り替えるのにかなり有用です。逆に女性はお子さんやお孫さんの話を好まれますが、帰宅願望が強まっている時にご家族の話を掘り下げると帰りたい気持ちが強まってしまうことがあるのでいくらその人がよくする話だったとしても今の感情に相応しいかどうか検討しましょう。

気分よく話してもらうことが一番

先述した認知症周辺症状BPSD、これの対処法のひとつが「正しいコミュニケーション」なのです。正しく気持ちの良いコミュニケーションが取れることでBPSDは緩和します。逆に不穏が続いていたり、怒りっぽいときは正しいコミュニケーションが取れていないことが考えられます。

もちろんそれ以外にも要因は存在し、認知症の程度にもよります。またいくら効果があると言えども劇的に改善する薬ではないため、コミュニケーションだけで緩和するものではなく環境を整えるなどの様々な対処法をトータルで行う必要があります。

コミュニケーションと一口に言ってもその人によって好むコミュニケーションはまちまちです。一人静かに過ごすことが一番落ち着く方がいれば、ワイワイガヤガヤしている環境が大好きな方もいます。そもそも相手によって距離感も違いますから、あなたと相手にとってお互いが一番気持ちのいいコミュニケーションを取ることが一番です。この記事の内容に関してはあくまで参考に、自分なりに一番やりやすいアプローチを探すヒントにしてください。

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