はじめに
近年、スマートフォンやタブレットが高齢者にも広く普及し、在宅介護の現場でも「ネットとの付き合い方」は欠かせないテーマになっています。家族や友人とのビデオ通話、健康情報の検索、趣味の動画視聴など、インターネットは生活を豊かにしてくれる一方で、詐欺やトラブルといったリスクも存在します。
特に高齢者は「画面に出てきた表示を信じやすい」「不安をあおる広告に反応しやすい」といった傾向があるため、ネットリテラシー(インターネットを正しく安全に利用する力)を家族が一緒に育んでいくことが大切です。この記事では、高齢者本人はもちろん、その家族も知っておきたい高齢者向けのネットリテラシー向上の工夫を具体的に紹介します。
高齢者が直面しやすいネットのリスク
怪しい広告や詐欺メール
「お使いのスマホはウイルスに感染しました」「今すぐサポートを受けてください」といった警告表示に、高齢者は慌ててしまうことがよくあります。クリックしてしまうと高額な請求や個人情報の流出につながることも。
SNSでの情報トラブル
写真や個人情報をうっかり公開してしまい、知らない人に利用されるケースもあります。特に「孫の写真を見せたい」という気持ちから、住所や家族構成が推測できる投稿をしてしまう危険も。
課金トラブル
ゲームアプリや有料サービスで「無料だと思っていたら課金されていた」という事例は少なくありません。
こうしたリスクをゼロにすることは難しいですが、家族が寄り添いながら「安全に楽しむ習慣」を一緒につくっていくことで、多くは防ぐことができます。
怪しい通販サイトの利用
本物のネットショップそっくりに作られた偽サイトに騙されたというケースは高齢者に限ったことではありません。こういった偽サイトは個人情報やクレジットカードの悪用目的なので、画面上では購入できていたとしても商品が届くことはないと考えていいでしょう。
また、A●azonなどの有名な通販サイトであっても、個人出品者が不当に送料を吊り上げて設定しているケースや、知らないうちに定期購入させられているというケースもあります。
家族ができるネットリテラシーの育て方
一緒に検索を練習する
「症状を調べたい」「趣味のことを調べたい」など、高齢者が興味を持っているテーマを一緒に検索してみましょう。検索の仕方や、上位に出てくる情報の見極め方を横でサポートすると安心です。
怪しいサインを共有する
- 差出人が不明なメール
- 不自然なURL
- 緊急を装ったメッセージ
- 個人情報や送金を求める内容
これらは「怪しいもの」として家族と一緒に具体例を見せておくと、実際のトラブルを防ぎやすくなります。
家族ルールを決める
「お金を振り込むときは必ず家族に確認する」「パスワードは自分だけで管理しない」など、シンプルなルールを決めておくと安心です。
セキュリティ環境を整える
フィルター機能やセキュリティソフトを導入するのも有効です。最近は高齢者向けにシンプル操作のサービスもあるため、機械が苦手な方でも利用しやすい環境を整えられます。
ネットを「楽しみ」とつなげる工夫
いくらリスクがあるとはいえ、この情報社会でインターネットを活用しないというのももったいないもの。
「危ないしよくわからないから」と敬遠するのではなく、安全に活用する方法も考えていきましょう。
孫や家族とのビデオ通話
「ネットを覚えるのは難しい」ではなく、「孫とテレビ電話できるならやってみたい」と思えると、学ぶ意欲につながります。
趣味や学びに活用
料理動画や体操の配信、趣味のサークル情報など、高齢者の生活に役立つコンテンツを一緒に見つけるのもおすすめです。
安心感を高めるサポート
「困ったらこのボタンを押せば家族につながる」など、緊急時の手段を明確にしておくと、本人も安心してインターネットを利用できます。
まとめ
在宅介護の中で高齢者のネットリテラシーを育てることは、防犯や安全のためだけでなく、生活の楽しみや人とのつながりを広げる大切な要素です。
家族が「一緒に学ぶ」姿勢を持つことで、インターネットは高齢者にとって「不安の種」から「生活を支える便利な道具」に変わっていきます。小さな工夫から始めて、安心で豊かなデジタル生活を実現していきましょう。



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