はじめに:物取られ妄想ってなんだ?
認知症のあるあるトラブルのひとつに「物取られ妄想」があります。財布がない、通帳がなくなった、誰かが盗んだ…と、本人は本気で信じてしまうやつですね。家族からすると「また始まった…」と頭を抱える原因でもあります。
でもこれ、本人にとっては冗談でもなんでもなく、切実な問題。だからこそ「否定しても逆効果」「怒っても逆効果」と、対応を間違えると泥沼化しやすいのです。この記事では、そんな物取られ妄想に直面したときの“家族の立ち回り方”を、マニュアル形式でまとめました。
ステップ1:まずは本人の気持ちを受け止める
いきなり「盗んでないよ!」と否定したくなりますが、それは火に油です。妄想といっても、本人にとっては事実そのもの。だからまずは一度、気持ちを受け止めることが大切です。
例:「そうなんだ、なくなっちゃったんだね。心配だよね。」
“盗んだ/盗んでない”の議論を始める前に、“なくなったことによる不安”に寄り添うのがポイントです。
ステップ2:探す行動に付き合う
「じゃあ一緒に探してみようか」と声をかけてみましょう。実際には、本人が同じ場所に何度も隠しているケースが多くあります。クッションの下やタンスの奥、冷蔵庫の野菜室から通帳が出てくる…なんてことも珍しくありません。
一緒に探すことで「家族も協力してくれている」という安心感を持ってもらえるのも大きな効果です。
ステップ3:安全な“隠し場所”を一緒に決める
何度も物をなくして妄想に発展する場合は、“隠し場所”を本人と一緒に決めてしまうのも手です。たとえば、
- 財布はタンスの左上の引き出し
- 通帳は専用の箱に入れる
- 印鑑は決まったポーチにしまう
など、本人が「ここだ」と納得できる場所を作っておくと安心しやすいです。ポイントは、家族が勝手に場所を決めるのではなく、本人と“約束”として決めることです。
ステップ4:記録をとっておく
「また盗まれた!」となるときに備えて、家族がこっそり写真を撮っておく、メモを残す、など証拠を持っておくのも役立ちます。実際に「ここに入っているよ」と写真を見せると、落ち着くケースもあります。
ただし「ほら、あるじゃん!」と突きつけるのは逆効果。あくまで「一緒に確認して安心しようね」というニュアンスで使うのがコツです。
ステップ5:本人を責めない
「また疑ってるの!?」「人を泥棒扱いして!」とつい怒ってしまう気持ち、めちゃくちゃわかります。でも、これを言ってしまうと本人はますます不安定になり、妄想が強化されるリスクが高いです。
大事なのは「本人が悪いわけじゃない」と理解すること。脳の変化で起こっている症状だと割り切ることが、家族のストレス軽減にもつながります。
ステップ6:専門職に相談する
物取られ妄想が頻繁に出て、家族だけで対応が難しい場合は、ケアマネジャーや主治医に相談しましょう。薬の調整が必要な場合や、デイサービスを活用して気分転換を図る方法もあります。
「こんなことで相談していいのかな?」と思う人も多いですが、介護の現場では超・よくある話です。むしろプロに頼った方が早く解決につながるケースがほとんどです。
家族が消耗しない工夫も大事
物取られ妄想は、本人だけじゃなく家族も疲弊します。だからこそ、
- 家族だけで抱え込まない
- 信頼できる人に愚痴を言う
- ショートステイやデイサービスを積極的に利用する
など、「自分たちが楽になる方法」もセットで考えておきましょう。介護は長期戦です。真面目に抱え込みすぎると共倒れになってしまいます。
まとめ
認知症の「物取られ妄想」は、本人にとっては本当にリアルな出来事。だからこそ「否定する」より「受け止める」「一緒に探す」「安心できる仕組みを作る」ことが大事です。そして、家族自身のメンタルを守るためにも、専門職やサービスを活用しながら、無理なく付き合っていくことがポイントです。
「盗んだ」「盗んでない」の堂々巡りに疲れたら、今日のステップを思い出してみてください。ちょっとだけラクになるはずです。



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