はじめに
夜になると突然落ち着かなくなり、部屋を歩き回ったり、意味不明なことを話したり、時には大声を出したり…。
「昼間は普通なのに、夜になるとまるで別人みたい」
そんな状態を 「夜間せん妄」 と呼びます。
介護の現場でもよく見られる症状ですが、実際に家で遭遇すると家族はかなり大変です。眠れない夜が続けば心身ともに消耗しますし、対応を誤れば転倒や事故につながる危険もあります。
本記事では、「家族が夜間せん妄にどう向き合うか」 を中心に、実践的なポイントをまとめました。
夜間せん妄とは?
特徴的な症状
- 夜になると混乱や不安が強まる
- 幻覚や妄想が出る(「誰かが部屋にいる」など)
- 眠れずに歩き回る
- 時に暴言・暴力的になる
昼間は落ち着いていても、夜になると突然スイッチが入るのが大きな特徴です。
原因の背景
夜間せん妄にはいくつかの要因が絡み合っています。
- 体調の変化(感染症・便秘・脱水など)
- 薬の影響(副作用や飲み合わせ)
- 認知症の進行
- 環境要因(暗さ・音・生活リズムの乱れ)
つまり「本人のせい」ではなく、体や環境が作り出す現象でもあるのです。
家族ができる実践的な対応
1. 環境を整える
夜間せん妄は「不安」をきっかけに悪化することが多いです。
- 照明は完全に消さず、豆電球や常夜灯を
- 時計やカレンダーを見える位置に
- トイレまでの道を明るく、安全に
「ここは安心できる場所だ」と本人が感じやすいように環境を整えましょう。
2. 声かけのコツ
つい「もう寝なさい!」と叱ってしまいたくなるものですが、それは逆効果。
- 落ち着いた声で短い言葉を
「大丈夫だよ」「ここにいるから安心して」 - 否定より共感を
「誰かがいる!」 → 「怖いんだね。でも一緒に見てみようか」
“言い合い”になると収拾がつかなくなります。
**「安心感を与える」**ことが最大のポイントです。
3. 昼間の過ごし方を工夫する
夜眠れない背景には「昼寝のしすぎ」「活動不足」もあります。
- 軽い散歩や体操
- 昼寝は30分以内
- 太陽光を浴びる
昼と夜のメリハリを意識することで、夜間せん妄の出現を減らせることがあります。
4. 危険を最小限にする
夜間せん妄の怖さは「転倒・事故」。
- ベッド周りに物を置かない
- スリッパより滑りにくい靴下やシューズ
- 鍵や窓の管理
「本人を止める」よりも「危険が起きない工夫」を優先しましょう。
5. 家族がつぶれないために
正直、夜間せん妄に毎晩つきあうのは本当に大変です。
- デイサービスやショートステイを利用する
- 家族内で当番制にする
- 医師に相談し、薬の見直しや睡眠導入の可否を確認
「頑張りすぎない仕組み」をつくることが、長期的に介護を続けるための必須条件です。
ちょっとユーモアを添えて
夜中に急に「泥棒がいる!」と叫ぶお父さん。
本気で驚いた家族が警察を呼びかけたら、本人は翌朝ケロッとして「そんなこと言ったか?」。
介護者としては泣き笑いの瞬間ですが、**「夜間せん妄ってそういうもの」**と知っているだけで、少し心が軽くなります。
医療機関に相談すべきタイミング
- 幻覚・妄想が強く日常生活に支障
- 暴力的になって危険がある
- 発熱や急な体調変化を伴う
- 家族が限界を感じている
「様子を見すぎる」より、「早めに相談」するのが安心です。
まとめ
夜間せん妄は家族にとって大きな負担ですが、
- 環境を整える
- 共感的な声かけ
- 昼夜のリズムづくり
- 安全対策
- サービスや医療の利用
この5つを意識することで、負担はぐっと軽くなります。
そして何より大切なのは、「一人で抱え込まない」こと。
夜間せん妄は“家族のせい”ではありません。支援を受けながら、少しでも安心して夜を過ごせる工夫を積み重ねていきましょう。



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