はじめに:なぜ「施設に入りたくない」のか?
「もう限界…施設にお願いしよう」と思っても、当のご本人は「絶対に嫌!」と頑なに拒否する――。介護の現場ではとてもよくある光景です。
子どもとしては「自分の生活もあるし、安全のためにも施設に行ってほしい」と思う一方で、親は「住み慣れた家を離れたくない」「見捨てられる気がする」と抵抗する。まさに平行線です。
この記事では、そんな 「介護施設 入居 嫌がる 親」 に直面したときの心構えや対応方法を、体験談を交えながらまとめていきます。
親が入居を嫌がる心理背景
「嫌がる」という表面的な態度の裏には、実はいくつもの心理が隠れています。
1. 住み慣れた家から離れる不安
長年過ごしてきた家は、ただの建物ではなく「思い出そのもの」です。家具や匂い、日当たり…それらすべてが安心感につながっています。
突然「施設に移りましょう」と言われても、旅行とは違い「もう戻れない」と思うと強烈な拒否反応が出やすいのです。
2. 「まだ大丈夫」というプライド
高齢になっても「自分はまだ元気」と思いたいのが人情。施設に入る=弱った証拠、というイメージが邪魔をしてしまいます。
3. 「家族に捨てられる」という不安
とくに戦後世代は「家族で支え合うのが当たり前」という価値観が強いので、「子どもに迷惑をかけたくない」と言いながらも「見放されるのでは」という恐怖を抱えがちです。
いきなり「施設!」は逆効果
ここで大事なのは、いきなり結論を押し付けないこと。
「施設に入らなきゃ危ないよ!」と強く言えば言うほど、親は耳を塞ぎます。
会話例(NGパターン)
子:「もう一人で暮らすのは無理だよ。施設に入って!」
親:「そんなの絶対嫌だ!」
子:「嫌って言っても危ないの!迷惑かけてるんだよ!」
親:「……(心を閉ざす)」
これではかえって溝が深まります。
まずは「話を聴く」ことから
介護の専門職もよく言うのが、傾聴の大切さ。
親の本音や不安を「そう思うんだね」と受け止めるだけでも、だいぶ態度が和らぎます。
会話例(OKパターン)
子:「施設に入るのは不安?」
親:「そりゃそうだよ。知らない人ばっかりでしょ。」
子:「たしかにね。知らない場所って怖いよね。」
親:「そうそう。今の家のほうが落ち着くし。」
子:「その気持ち、よくわかるよ。」
このやりとりだけで、親は「分かってもらえた」と安心します。
「お試し利用」でハードルを下げる
いきなり長期入居はハードルが高すぎます。
まずは ショートステイ や デイサービス を利用して「雰囲気を知ってもらう」ことが効果的。
「1週間だけお泊まりしてみようか」
「昼間だけ通ってみる?」
こうした小さな体験を積むと、施設のイメージが「怖い場所」から「意外と悪くない場所」へと変わっていきます。
専門職の後押しを借りる
家族が説得すると感情的になりがちですが、第三者の言葉は意外と響くものです。
- ケアマネジャー
- 主治医
- 介護職員
「安全のために施設を考えましょう」というプロの助言があると、親も「仕方ないかな」と受け止めやすくなります。
家族側の限界サインに気づく
親が嫌がるからといって在宅介護を続けると、介護者が倒れるリスクがあります。
「夜中の徘徊で眠れない」「腰痛が悪化して限界」など、サインが出ているときは我慢せず「施設」という選択肢を本気で考える時期です。
介護は「頑張ればなんとかなる」ではなく、持続可能性が最優先。
ユーモアで心をほぐす
シリアスになりすぎると行き詰まるので、ときには軽い冗談も効果的です。
「施設に行ったらカラオケできるってよ」
「そっちの方が私より友達できるかもよ?」
笑いながら話すことで、親も少しずつ「悪くないかも」と思える余地が生まれます。
まとめ:押し付けず、寄り添いながら一歩ずつ
- 親が施設入居を嫌がるのは自然な心理
- 否定せず、まず「聴く」ことから
- ショートステイやデイサービスで段階的に慣れる
- 専門職の後押しを借りる
- 家族自身の限界も見逃さない
大事なのは「説得」よりも「歩み寄り」。
施設への入居はゴールではなく、家族も本人も安心して暮らすための一つの選択肢にすぎません。



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