介護中でも「旅行したい」気持ちは自然なこと
在宅介護をしていると、どうしても「自分の時間なんて取れない」「旅行なんて夢のまた夢」と思いがちです。けれど、ずっと介護だけに追われる生活では、心も体も持ちません。
「温泉に入りたい」「子どもたちを海に連れて行きたい」「一緒に親を旅行に連れて行けないかな」——そんな気持ちはとても自然なもの。むしろ、介護生活を続けていくためのガス抜きとして「旅行」という目標があるのは、とても良いことなんです。
ここでは「介護中の家族旅行をどう実現するか」について、現実的な工夫をいくつか紹介します。
旅行をあきらめなくていい理由
「旅行に行きたいけど、要介護の親を置いてはいけない」——これは多くの介護家族が抱える葛藤です。でも、介護サービスを組み合わせれば不可能ではありません。
例えば…
- ショートステイを利用して親を数日間預ける
- デイサービスを旅行中も継続利用する
- 訪問介護を増やして家を空けても安心できるようにする
こうした仕組みを上手に組み合わせれば、旅行の実現はぐっと近づきます。
まずは「誰と旅行するか」を決める
介護中の旅行には、大きく分けて2つのパターンがあります。
- 家族だけで旅行する(介護者のリフレッシュ目的)
→ 親はショートステイに預けて、子どもや配偶者と旅行へ。 - 要介護の親も一緒に連れて行く(思い出作り目的)
→ 介護タクシーやバリアフリー対応の宿を選んで同行する。
どちらが良いかは状況によりますが、まずは「旅行の目的」を整理するのが大切です。
ショートステイを使った「親留守番プラン」
最も現実的で利用者が多いのが、ショートステイを利用する方法です。
普段から特養や老健に併設されたショートステイを使っておくと、「旅行の時だけお願いしたい」というニーズに対応してもらいやすくなります。
- 事前に施設を見学しておく
- 普段から短期利用して慣れてもらう
- 好きな飲み物や本を持参して安心感を与える
これで「親を置いて旅行する罪悪感」も軽くなります。
親も一緒に行く「同行旅行プラン」
もし親も旅行好きで、まだ体力があるなら「一緒に行く」という選択肢もアリです。
最近は「介護旅行サービス」や「介護タクシー」を利用して、車椅子のまま旅行に行く高齢者も増えています。
- 介護タクシーでドアtoドアの移動が可能
- バリアフリーの温泉旅館やホテルも増加
- 旅行会社の介護付きプランも存在
「もう旅行なんて無理」と思っていた高齢者が、実際に行ってみて大喜びするケースも多いんです。
実際のケース①:1泊2日・近場旅行
60代の娘さんが80代の母を介護している家庭。
「母をショートステイに預けて、息子夫婦と孫とで箱根へ1泊旅行」したそうです。
- 前もってケアマネに相談し、ショートステイを予約
- 荷物は母の好物や写真を用意して安心させた
- 旅行中に電話を入れて安心感を確保
結果「たった1泊でも気持ちが全然違った」と話していました。
実際のケース②:2泊3日・親も一緒に
70代父を介護している50代の息子さんの体験。
「父を介護タクシーで連れて伊豆へ旅行」しました。
- 移動はすべて介護タクシー
- ホテルはバリアフリールームを予約
- 食事は刻み食や柔らか食に対応してもらえた
「父が海を眺めて泣いていたのが忘れられない」と語っています。介護の大変さを超えて、家族の思い出になったそうです。
計画時の注意点
旅行を計画する時に大事なのは以下の3つです。
- 体調チェック:前日・当日の体調次第で無理はしない
- 費用感:ショートステイは1泊3000〜7000円程度、介護タクシーは距離により変動
- サポート体制:家族全員で「無理せず帰る勇気」を共有しておく
旅行を楽しむための小ワザ
- 荷物は最小限、宅配サービスで送る
- 食事はバイキングより個室食を選ぶ
- 写真をたくさん撮って「思い出アルバム」を作る
特にアルバムは、旅行後の生活に彩りを与えてくれます。親が写真を見て「また行きたいね」と言うだけで、次の介護生活のモチベーションになります。
介護中でも「旅行していい」
最後に一番大事なのは、「介護中でも旅行していい」ということです。
「親を置いて旅行なんて」と罪悪感を持つ方は多いですが、介護する人がリフレッシュすることは「介護の継続」に直結します。
もし迷っているなら、まずは日帰り旅行から始めてみましょう。
ほんの少し非日常を味わうだけでも、介護生活に光が差すはずです。



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